2-3-4 スキニング
今回は、Layered Clothingのスキニングについて解説します。
目次
アーマチュアとボーン
スキニングの作業を行う前に、アーマチュアとボーン、それらを使用したスキニングという作業が一体どういうものであるかについての説明を行います。
Blenderのアーマチュアを、3Dモデルに動きを与えるための「骨格」と呼ぶならば、ボーンはその骨格を構成する「骨」のことを指します。
アーマチュアは骨の集まりのことであり、ボーンが集まって骨格を作り上げているということです。
ボーンが動くと、モデルが曲がったり、伸びたり、回転したりという変形がなされます。
ここで、なぜボーンが動くと3Dモデルが変形するのかという疑問が生じますが、それを実現するのがスキニングという作業です。
スキニングでは、アーマチュアと3Dモデルを関連付けて、モデルの各部位がアーマチュアの動きに応じて変形するようにするための設定を行います。
アーマチュアと3Dモデルを関連付けることをペアレント、各ボーンがメッシュのどの部分にどれだけの影響を与えるか(ウェイト)を設定する作業のことをウェイトペイントと呼びます。
以降では、スキニングの作業を
- ペアレント
- ウェイトペイント
の2工程に分けて解説していきます。
まとめ
長くなってしまったので、簡単にまとめておきます。
聞き慣れない言葉が一気に登場しましたが、とりあえずは以下の内容を押さえておけば大丈夫です。
アーマチュア | 骨格 |
---|---|
ボーン | 骨 |
スキニング | ペアレント+ウェイトペイント |
ペアレント | アーマチュアと3Dモデルを関連付けること |
ウェイトペイント | ウェイトを設定する作業 |
ペアレント
スキニングを行う際には、Blenderファイルに事前に用意しておいたアーマチュア(リグ)と、制作物であるLayered Clothingのメッシュをペアレント(親子関係)にする必要があります。
ペアレントにするためには、まずはオブジェクトモードで服のメッシュ(子)→アーマチュア(親)の順にオブジェクトを選択します。
アーマチュアのオブジェクトをアクティブオブジェクトにするために、この順番でオブジェクトを選択する必要があります。
右クリックから"ペアレント→自動のウェイトで"を選択します。
このとき”自動のウェイトで”を選択することで、メッシュの形に応じて大まかにウェイトが割り当てられるので、作業の手間が省けます。
また、アーマチュアのオブジェクトデータプロパティから
”ビューポート表示→最前面”
にチェックをつけておくと、常にアーマチュアが最前面に表示されるようになるので、以降の作業が行いやすくなります。
ウェイトペイント
次に、ウェイトペイントという作業を行います。
ウェイトペイントを行うには、アーマチュア、メッシュの順にオブジェクトを選択し、画面左側からモードをウェイトペイントに変更します。
アーマチュア、メッシュの順にオブジェクトを選択する理由は、メッシュオブジェクトの方をアクティブオブジェクトにするためです。
ウェイトペイントでは、ブラシを使用してメッシュにウェイトをペイントしていくのですが、たくさんのブラシが用意されています。
画像の赤枠の部分からブラシを変更することができますが、初めのうちはDrawとSubtructのブラシさえ使えれば十分です。
Drawのブラシではウェイトを追加し、Subtructのブラシでは既存のウェイトを削除します。
画像の赤枠の部分からブラシサイズや強さなどを設定できるので、必要に応じて変更しましょう。
“Control”を押しながらボーンを選択するとそのボーンに対してウェイトを設定できます。ボーンを選択した状態でマウスカーソルをドラッグするとウェイトを割り当てることができます。
また、ボーンを選択した状態で”R”で回転をすることで、アーマチュアの動きに応じて実際にどのようにメッシュが変形するかを確認することができるので、
随時アーマチュアの動きに合わせてメッシュがどのように変形するかを確認しながら作業を進めましょう。
ここでウェイトペイントのコツをいくつか紹介します。
- アーマチュアの各ボーンを動かして、実際にメッシュがどのように変形するかを観察することが大切です。これによって、どの部分がどのボーンにどの程度影響されるかを理解することができます。
- トップスなど特定の部位に重点を置く場合、その部位のウェイト設定に特に注意が必要です。例えば、トップスの場合は腕の付け根など、動きが顕著な部位に適切なウェイトを設定することが重要です。
- メッシュの各頂点に対するウェイトの設定は、細かい調整が必要です。必要に応じて、ウェイトを修正したり、ブラシのサイズや強さを調整して、適切なウェイトを割り当てましょう。
スキニングの作業は複雑で、モデリングなどとは全く異なる点が多く、最初は難しく感じるかもしれませんが、
以上の点を意識しながら実践的な練習を重ねることで、徐々に慣れていくことができるでしょう。
最後に
以上でスキニングの解説は終了です。スキニングの作業の完了の目安は、
- アーマチュアの動きに合わせて、メッシュが自然な変形を行うようになっていること。特に関節部分や動きの激しい部位の動きが自然であること。
です。
次回は、ケージングの作業を行います。